お知らせ・ブログ

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医療・介護連携に思う

院長

医療・介護連携に思う
理事長 鴻江 和洋
団塊の世代が後期高齢者になる2025年問題を控え、国は急増する虚弱高齢者を支えるために医療介護総合確保促進法案を可決いたしました。それに伴い、地域包括ケアを実践するために、医療と介護の連携が必要だとあらゆる会合等で叫ばれるようになりました。しかしどうでしょうか、はたして医療と介護の連携は進展していているのでしょうか。私は決してそうとは思えません。

先日行われました医師会主導の医療と介護の連携学会はどうだったでしょうか。県の長寿社会局長が福祉施設の研究大会に参加されその介護の専門性の高さに触れ、医療と介護のそれぞれの専門性を生かして連携をとることが必要であることを提言されました。にも関わらず、介護職は専門性がないので介護職を除いた他の職種で連携すべきであるとの発言があったと聞いている。医師がこのような発言をするようでは医療と介護の連携が進むはずがありません。

以前から思っていたことですが、医療関係者は現在介護施設がどのような介護を行っているかをほとんど理解されてない気がしてなりません。虚弱高齢者の生活を成り立たせるためにはどうしても医療だけでは不可能です。医療と介護がその専門性を理解しあわなければ決して前進しないのではと危惧しているところです。ややもすると医療関係者は介護職を上から目線で見がちではないのかと心配しているところです。

確かに介護施設も施設によってレベルの差異はあったとしても、介護をひとくくりにして専門性がないという発言はあまり妥当とは言えません。ましてや介護人材確保の難しい現在、モチベーションをそぐような発言は厳に慎んでいただきたい。ただ非難するのではなくむしろ介護職のレベルを引き上げる協力をお願いしたい。その真摯な働きなくしては虚弱高齢者の生活は成り立たないのです。彼らも彼らなりに常に介護の専門性を求めて研鑽をしているのです。
高齢者にとっては生活をどう成り立たせるかが最も大事なのです。決して最高の医療を提供することがそれを満足させるわけではありません。

医療と介護の両方をまじかに何年もみてきた小生にとっては、高齢者の生活は医療なくしても介護なくしても決して成り立ちません。そのどちらかがかけても高齢者の生活は成り立たないのです。どうか医療関係者の方々も、もう少し現在の介護施設の状況あるいは介護職の介護に対する専門性を理解していただき、お互いがお互いの立場を理解し、介護職に対する敷居を低くしていただき実のある医療介護連携を達成していただくことを願ってやみません

年頭のご挨拶

院長

地域ケアの拠点として

~今年の抱負~

平成27年 元旦                        理事長 鴻江和洋

 


皆様、あけましておめでとうございます。

 

衆議院選挙も自民党の圧倒的勝利で幕を下ろし、荒尾市長選挙が始まる前にこの文章を

書いています。

 

 


今、日本は少子高齢化の真っ只中に突入するに当たり、すべての分野において大きな

転換期にさしかかっています。特に、医療・介護の分野においても、その大きな波が

この数年の間に押し寄せてくる気配があります。政府の医療・介護総合促進法案によって

以下の点が強調されており、私どもの組織もそれに従った変化を遂げなければなりません。

その大きな柱は①地域医療ビジョンによる、病院病床の機能的な配置。②在宅医療の推進。

③介護との連携強化等です。

 

 

 

 

当法人の果たすべき役割は病院の理念に述べてありますように、質の高い慢性期医療と

ケアの提供であります。その理念に従い今後も粛々とその使命を果たしていきたいと

思っております。

 

当院のこれからの課題としては

①スムーズな世代交代。②老朽化した施設の建て替えであります。

①に関してはここ数年のうちに徐々に行う予定です。②に関しては建設費が高騰している

東京オリンピックが終わるまで資金を貯めて、じっくりと建て替える予定です。

これから始まる、地域医療構想会議にも積極的に参加して、発言しその行方にも関わってくる

問題だと捉えています。

 

今年の干支は羊です。羊のように穏やかで皆様の安泰を祈念して筆を置きます。

今年もよろしくお願いいたします。



 

地域包括ケア病棟時代の幕開け

院長

地域包括ケア病棟時代の幕開け。

9月28日熊本済生会病院にてLTAC研究会が開催された。

LTACという文字は何の略だろうと思っていたらどうやら(LongTerm Acute Care)長期急性期病院の略のことらしい。

これもまたアメリカで発生した言葉らしい。諸外国は日本に比べ在院日数が非常に短いのでこういうカテゴリーの病院が沢山できたらしい。ひらたく言うと複数の合併症を持ち、長期入院が必要な複雑な病態を抱える重症度の高い患者に対して、専門性の高い急性期医療を提供する施設のこと。平均在院日数が25日以上で2011年現在アメリカでは436施設が認可されている。

なぜこの施設が日本でも検討されるようになったのかは、すでに諸所で紹介されている2025年問題である。日本の高齢化は急速に進んでおり、これを乗り切るためには現存する施設を機能的に、フルに活用しなければならないといわれている。そのためには7対1看護の急性期病床を減らし、LTACに相当する地域包括ケア病棟を増やさなければならない。というのが研修会の創設理由のようだ。

研修会で一番印象に残ったのは産業医科大学の松田教授の講演だった。

彼は全国の病院のデータをかなり詳細に把握しており、それをコンピューターに落とし込んでおり、上記の現存する施設を機能的にフルに活用することと、さらには今後必要な病床機能は何かということを、全国一律ではなく、地域が主体となり考え、計画立案するための支援ツールを各自治体に提供していた。熊本県の担当者である岩谷氏も、彼の支援ツールを利用して各医療圏の現状を把握して、今後の地域医療ビジョンを構築していく予定であると述べていた。厚労省の担当者はこの地域医療ビジョンが実際に実動するのは平成30年であろうと予測していた。

その後、名古屋の大病院(600床)の取り組みの報告があり、今回の診療報酬改定を踏まえ自院の弱点であった、断らない救急医療を実践した。そして地域医療連携室と・相談室を充実させ、後方病院を訪問し地域連携推進に関するアクションを起こした。

地方都市の例として、岡山の脳神経外科に特化した中規模病院(162床)の報告でもやはり地域の連携会議を頻繁にするようになり、顔の見える関係、さらには腹の見える関係を築くための努力をしているとのこと。

最期に福井県の小病院(30床)の取り組みが報告された。いままで15対1の看護配置で療養病床を運営し、在宅医療に力を入れてきて職員が120名程になった。今回地域包括ケア病棟を取得するために特別な理事長直括の部署を設けて対策を練り、全職員にその内容を徹底して教育をし、準備をしたとのこと。この症例は非常に参考になった。

午後からはシンポジウムがあったが、それぞれの報告を聞いて非常に印象に残った点は以下である。それぞれの病院が真摯に今回の診療報酬改定の意図するところを理解し今後の方向性を模索している点。自院あるいは周囲の医療資源のデータを正確に把握し、それをもとに今後の方向性を職員全体で検討している。今後は自院の立ち位置をはっきりとさせ地域に発信し、他の医療機関と連携して地域のための医療を行うことが求められているということを再確認した。

ユマニチュードに思う

院長

認知症介護にユマニチュードの技を用いれば、魔法のように患者さんケアが楽になり、患者さんも幸せになるという。

そんな介護方法がフランス人によって紹介された。国立長寿医療センターの女性の医師がそれを普及しようと頑張

っているようだ。

非常に興味をひかれたので早速本を購入し、テレビでも拝見させていただいた。その結果確かに認知症介護に必要

な基本的技術を、きちんと言葉で表現されており、頭の整理にはなったといえそうだ。

しかし、よく考えてみると、日本の介護現場においてはすでにほとんど実践されていることばかりではないだろうか。

紹介された方が医療現場におられる看護師の方だったので、ああなるほどと理解できた。私が思うには病院における

認知症ケア、特に急性期病院における認知症ケアは介護施設におけるそれよりもかなり遅れているような気がする。

また介護現場からもその技術を言語化し、医療現場への発信も足りなかったと思われる。要は医療現場と介護現場が

お互いにもう少し理解を深め連携を密にしていかなければならない。特に今後地域包括ケアを推進するためには非常に

重要なことではないのだろうか。

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