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ボツリヌス療法外来

ボツリヌス療法外来

Botulinum therapy

2010年からボツリヌス療法による上肢・下肢の痙縮の治療が保険適応となっています。

主にこの外来では脳卒中による後遺症での上下肢の痙縮に対して治療を行っております。
この治療法は、痙縮により筋肉が固くなったものをやわらかくすることで、車いすへの移動時の負担軽減や可動域を広くし、日常生活が向上する効果が望めます。また、衣服の着脱やおむつ交換など、上下肢が動かないと介助がしにくい場合にも、可動域が拡大することによって、介助量を減らすことが期待されます。効果には個人差があり、計画的なリハビリも必要になってきますので、外来で一度ご相談の上、受診していただければと思います。

痙縮(けいしゅく)とは

脳卒中の後遺症としてみられる運動障害の一つに痙縮(けいしゅく)という症状があります。痙縮とは、意思とは関係なく筋肉の緊張が高まり、手や足が勝手につっぱったり曲がってしまったりしてしまう状態のことです。痙縮では、主に以下のような症状が見られます。

  • 手の指が握ったままで開きづらい(清潔にしにくい)
  • 肘が曲がり伸びづらい(着替えなどしにくい)
  • 足の先が足の裏側の方へ曲がってしまう(歩くと痛い、装具がつけにくい)

痙縮による姿勢異常が長く続くと、筋肉が固まって関節の運動が制限されてしまう拘縮(こうしゅく)という状態に陥り、ご本人の日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。
また、痙縮そのものがリハビリテーションの障害となることもあるので、痙縮を治療することによりリハビリテーション(ストレッチ含む)がしやすくなります。

ボツリヌス療法について

ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンと呼ばれるたんぱく質を有効成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。ボツリヌストキシンを筋肉内へ注射すると、筋肉の緊張をやわらげ、痙縮を改善することができます。ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。

期待される効果

  • ストレッチ含むリハビリテーションを行いやすくなります
  • 関節が固まって動きにくくなったり、変形するのを防ぎます(拘縮予防)
  • 痛みをやわらげる効果が期待できます
  • 介助の負担を軽減することが期待できます(着替えの補助、衛生ケアがしやすいなど)

一時的に見られる副作用

  • 注射部位が腫れる、赤くなる、痛みを感じる
  • 体がだるく感じる、力が入りにくい

これらの症状の多くは一時的なものですが、症状があらわれた場合には、医師に相談してください。

ごく稀にあらわれる副作用

  • 吐き気がする
  • 呼吸が苦しい
  • 全身が赤くなる
  • 物が飲み込みにくい
  • けいれんが起こる

これらの症状があらわれた場合には、すぐに医師に相談してください。
この他にもボツリヌス療法を受けた後に、何かいつもと違うなと感じることがありましたら、医師に相談してください。

治療の進め方

細い針で数か所、緊張をゆるめたい筋肉に注射をします。治療時間は約20分〜30分くらいです。部位によっては超音波装置や筋刺激装置を用いて注射を行います。主に上肢・下肢に投与します。

治療目標設定・投与日予約

痙縮によって困っていることなどを医師と相談し、治療の目標を決め、投与日の予約をします。

投与

初回投与を行います。

受診(1〜2回)・次回投与日予約

医師と症状を相談しながら、次回投与日を予約します。
効果は、注射後2~3日目から徐々にあらわれ、通常3〜4か月間持続します。その後、数週間で効果は徐々に消えてしまうので、治療を続ける場合には、年に数回、注射を受けることになります。

投与

2回目投与を行います。2回目投与以降は③〜④を繰り返します。
※治療効果や持続期間には個人差があるので、医師と相談をしながら治療計画を立てていきます。

費用について

ボツリヌス療法は、上下肢痙縮(手足の筋肉がつっぱっている状態)に保険適応がありますが、注射薬そのものが非常に高価なため、身体障害者手帳(1~2級)をお持ちでない方は、医療費が高額になる場合があります。具体的な費用の程度は、使われる量にもよりますが3割負担の場合、15,000円程度から80,000円程度になる場合があります。
ボツリヌス療法の費用について、医療費助成制度を利用できる場合があります。詳しい医療費の負担については、実際の診療の際にご説明します。

ボツリヌス療法外来受診の患者さんならびにご家族の方へ

下記内容を十分にご理解いただいた上で治療を受けてください。

ボツリヌス毒素は、あくまでも硬くなった筋肉を柔らかくすることで、適切なリハビリテーションを行いやすくするものです。リハビリテーションと併用しなければ 効果はありません。また筋肉がつっぱっていない人(痙縮がない方)は治療の対象となりません。

効果の持続は、3ヵ月〜4ヵ月程度です。効果の持続とリハビリテーションの量は相関しており、日頃からしっかり自主訓練ができている患者さんほど長く持続します。一回行えばそれで終わりの治療法ではなく、繰り返し定期的な投与とリハビリテーションの継続が必要な治療法です。

注射後に、リハビリテーションスタッフによって自己訓練を指導させていただきます。初回投与後、自主訓練を継続できない場合や期待された効果が得られない場合は、その後の投与を中止とさせていただくことがあります。

効果は個人差が大きいことをご理解ください。目標は相談して決めますが、もっとも重要なことは、ボツリヌス療法を行うことで、○○ができるようになりたいという具体的かつ現実的な目標があり、患者さんもそれに納得されていることです。

脳卒中発症後、長いことストレッチなどがされておらず、動かされていなかった麻痺の手足は、筋肉そのものが短縮したり、関節が固まってしまいます。これらの方には筋肉を柔らかくしても効果が得られないことが多いです。

診療時間・ご予約

ボツリヌス療法外来の受診は完全予約制となります。

初診の患者さんは、かかりつけ医による紹介状がある場合はご持参ください。紹介状なしでも受診は可能です。

診療時間・ご予約

診療時間

【毎週火曜日】 15:00〜17:00

予約受付

【平日】 9:00〜17:30

Tel.0968-62-0525

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