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地域包括ケア病棟時代の幕開け

院長

地域包括ケア病棟時代の幕開け。

9月28日熊本済生会病院にてLTAC研究会が開催された。

LTACという文字は何の略だろうと思っていたらどうやら(LongTerm Acute Care)長期急性期病院の略のことらしい。

これもまたアメリカで発生した言葉らしい。諸外国は日本に比べ在院日数が非常に短いのでこういうカテゴリーの病院が沢山できたらしい。ひらたく言うと複数の合併症を持ち、長期入院が必要な複雑な病態を抱える重症度の高い患者に対して、専門性の高い急性期医療を提供する施設のこと。平均在院日数が25日以上で2011年現在アメリカでは436施設が認可されている。

なぜこの施設が日本でも検討されるようになったのかは、すでに諸所で紹介されている2025年問題である。日本の高齢化は急速に進んでおり、これを乗り切るためには現存する施設を機能的に、フルに活用しなければならないといわれている。そのためには7対1看護の急性期病床を減らし、LTACに相当する地域包括ケア病棟を増やさなければならない。というのが研修会の創設理由のようだ。

研修会で一番印象に残ったのは産業医科大学の松田教授の講演だった。

彼は全国の病院のデータをかなり詳細に把握しており、それをコンピューターに落とし込んでおり、上記の現存する施設を機能的にフルに活用することと、さらには今後必要な病床機能は何かということを、全国一律ではなく、地域が主体となり考え、計画立案するための支援ツールを各自治体に提供していた。熊本県の担当者である岩谷氏も、彼の支援ツールを利用して各医療圏の現状を把握して、今後の地域医療ビジョンを構築していく予定であると述べていた。厚労省の担当者はこの地域医療ビジョンが実際に実動するのは平成30年であろうと予測していた。

その後、名古屋の大病院(600床)の取り組みの報告があり、今回の診療報酬改定を踏まえ自院の弱点であった、断らない救急医療を実践した。そして地域医療連携室と・相談室を充実させ、後方病院を訪問し地域連携推進に関するアクションを起こした。

地方都市の例として、岡山の脳神経外科に特化した中規模病院(162床)の報告でもやはり地域の連携会議を頻繁にするようになり、顔の見える関係、さらには腹の見える関係を築くための努力をしているとのこと。

最期に福井県の小病院(30床)の取り組みが報告された。いままで15対1の看護配置で療養病床を運営し、在宅医療に力を入れてきて職員が120名程になった。今回地域包括ケア病棟を取得するために特別な理事長直括の部署を設けて対策を練り、全職員にその内容を徹底して教育をし、準備をしたとのこと。この症例は非常に参考になった。

午後からはシンポジウムがあったが、それぞれの報告を聞いて非常に印象に残った点は以下である。それぞれの病院が真摯に今回の診療報酬改定の意図するところを理解し今後の方向性を模索している点。自院あるいは周囲の医療資源のデータを正確に把握し、それをもとに今後の方向性を職員全体で検討している。今後は自院の立ち位置をはっきりとさせ地域に発信し、他の医療機関と連携して地域のための医療を行うことが求められているということを再確認した。

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